報せは世界を揺らした。
ちいさな揺れがざわりと伝わり、そして大揺れ。
騒ぎの中、呆然と突っ立った。

逃げる場所、なんてない。


『Ｍ８』


いつもと同じように息をして、でもどこかが空だった。
たった一つの事実に全てが支配され、それを覆い隠す身体と心の不和は、
予想以上にダメージが大きいことを自分だけに伝える。
煙草を持つ指先が震えて、暫くほとんど食べていなかったことに思い至った。
心が忘れても、身体は貪欲に生を求める。
諸兄は息を吐いて、震える指のままで火をつけた。

（ふざけ、るな）

肺に煙をいれることさえままならず、やっと呑めば吐き気がした。

オレを変えたのは誰だ、
夢を見せたのは誰だ、
目指す先を作ったのは誰だ、
オレの前に立つの、は

（道標が、勝手に…！）


報せは世界を揺らした。
ちいさな揺れがざわりと伝わり、そして大揺れ。
騒ぎが治まっても、心は呆然と突っ立ったまま。

フジワラ・ノ・フヒトが、消えた。



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はじめてのツギハギ。
題名は白鳳の大地震（橘諸兄誕生年に起こった地震）の地震の強さだったりする。
無駄に調べた。




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