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返ってきた原稿は、赤くまみれていた。
「最悪だ」
一息、紫煙を吐いて、一緒に吐き出すような橘の声。
「主語と述語があって無い
 字が違うこれじゃ別の意味になる
 方言と標準語を混ぜるな
 この言葉意味わかって使ってるかお前
 無駄な改行はするな読み辛い
 その割りに文が長すぎる
 一緒に行った俺ですら理解に苦しむってどういう表現だ」
延々と。
そろそろ聞いている僕のほうが疲れてきたころにやっと言葉がとまった。
「だがまぁ」
急に声が変わるから。
窓の外に向けていた目を戻せば、口の端を吊り上げた。
笑う橘を見れるなんて、滅多にない。
「漂流作家として一番大事なもんは持ってるんじゃないのか」
さっさと直せと言って、席を立つ。
「橘」
その背に声をかけた。
「動いたか」
「どうだかな」
僕の漂流録の最初の読者はどうやら素直じゃないらしい。



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真備は師匠と同じくワクドキするような漂流録を書いてくれる人だといいよ。