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昔後ろを歩いた人の背は、視界を埋めていた。
今前を歩く子供の背は、まだ視界に入らない。
いつか、この背を追うのだろうか。諸兄はふと思う。
きょときょとと辺りを見回し、伝えたい何かを探す視線も。
まだ知らない何かを目指し踏み出す足の運びも。
さらり走らせるペン握る指も。
ふざけた普段からは想像も付かず心を動かす、行間に溢れる感動も。
なにもかも、あの人を思い起こさせるほど似て、間違えないほどに違う。
並び立ったあの背は、今どれほどになっているのだろう。

「橘さん?」
目が覚めて目の前にいたのは、追いかけた子供ではなく。
「珍しいですね、橘さんが寝過ごすなんて」
くすくす笑う巴に適当に返事を返す。
歩き出すまでの僅かな間、どこか遠く北にいるかつての担当作家を思った。
帰ってきたときに、自分はあの背を追うのだろうか。

追わせてくれよ、と呟く代わりに煙を吐いた。



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…書いててちょっと巴がかわいそうになってきた。漂流中に他の作家のこと考えさせてごめんよ、巴ー